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交差する刃の煌めき。
ただし、教室に響いたのは裾を踏む姫達の足音のみ、刃は合わさることなく互いの敵へと向かう。
冥府刀が狙うは老婆のように前屈みとなった死神、そのフードに隠された顔面だ。
だが、死神は前屈みだった背筋を伸ばすことで冥府刀をかわし、冥府刀はフードをかすめてローブの袖を裂き、大鎌の柄に当たり、勢い余って柄を滑る。
(くっそぉおおお!!!)
袖を裂き柄を滑る、つまり、大鎌の方が俺の冥府刀より下にある。死神の方が俺より腕を振り下ろすのが速かったのだ。そして、振り下ろされた大鎌が貫いているのは俺の足の甲、刃は半ばまで腐泥門に埋まっている。
俺は罵声をそのまま口から吐き出し、刀を反して大鎌の柄を死神にむけて逆に滑らせる。
死神は大鎌を斜めに振り上げて俺の冥府刀を払い、そのまま自分の真後ろまで振り抜く。黒衣の姫の頭上に達した大鎌は、そこで火花を散らした。
「くっ!」
冥府刀を弾かれた章介、だが、すかさず次の攻撃を繰り出す。
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