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(もらった!)
大鎌は引くか、横から薙いでこそ切れる。背後か側面にあれば脅威だが、今、大鎌は目の前で鏡のように俺の顔を映している。恐れることはない。死神に出来ることは鎌で突くことぐらいだ。刃のない外側で突かれても怖くはない。
大鎌に映る俺の両目が鋭く細まる
(お前の脚もらうぜ!)
その時、大鎌が動く。
(遅い!)
今さら攻撃に回そうが防御に回そうが、冥府刀が脚を裂く方が先だ
しかし、死神が行ったのどちらでもなく、大鎌の角度をわずかに変えただけであった。
角度を変えた大鎌に映るのは俺の背後、はるか後方に黒板が見える
俺と黒板の間には何もない。
いるべきはずの裾踏姫の姿がない
(真紀!?)
冥府刀が死神にとどく直前で止まる。
裾踏留めの呪術なくして冥府刀を使えば、俺は腐泥門に沈む。その恐怖が攻撃を止めさせたのだ。
「馬ッ鹿!!!」
背後から真紀の怒声。ここで俺は真紀の戦闘スタイルを思い出す。立ち姿で裾を踏む夏奈子や美奈と違い、真紀はギリギリまで姿勢を低くし、地を這うように裾を踏む
つまり、映らないだけで、真紀はしっかりと俺の裾を踏んでいる。
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