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(しまった!)
俺は死神の術中にはまり、千載一遇のチャンスを逃したのだ。
踏むのが夏奈子や美奈ならば絶対に起こらなかったミスだ。俺は常に、頭のどこかで真紀が逃げる可能性を考えていた。だから、姿が見えなかった時、他の可能性を考える前に逃げたと思ったのだ。もし、後ろに立つのが美奈や夏奈子ならば、例え姿が映らなくとも相手を信じ、刀を振り抜いたことだろう。
死神は俺と真紀との浅い関係をつき、俺はまんまとはまったのだ。
(くそ!)
俺が再び突こうとした時には、脚はすでにそこになく、死神の残した泥の飛沫だけがあった。
死神は章介から離れるように、そして、俺の命を奪うべく、俺の右側へ移動する。
その反対側、左側から真紀の足音が聞こえた。真紀はすでに裾を退き、次なる踏み位置へと移動している。俺が死神の方を向けば必然的に裾が足元へ来る位置だ。
俺が死神の方を向くことが出来れば裾を踏むが、向くことが出来なければ私は知らないということだろう。
冷たいようだが、今のミスで見放されなかっただけマシだ。
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