第26話 泥と血と涙㊥

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俺は死神に向き直ろうとし、足の甲の激痛に顔を歪める。同時にそれは断念の表情となる。 死神の速度には追い付けない。死神はすでに大鎌を振り上げている 今から死神に正面を向け、刀で受けることは不可能だ。 俺は防ぐことを諦め、身体を倒して横に跳ぶ。 二の腕に痛みが走り、浴衣が切れて血飛沫が舞った。 己の血に濡れた大鎌を仰ぎ見ながら、俺は腐泥門の上を転がる。 ただし、これはわずかな延命にしかならない。転がる俺の脚に長い裾が巻き付き、姫の踏む場所どころか脚の自由がなくなる。 万事休す  死神が一歩距離をつめるだけで、大鎌は俺にとどき、俺は死ぬだろう。 真紀は俺から距離をとり、複雑な表情で見下ろしている。彼女は裾踏姫、彼女に救けを求めることは出来ない。真紀に望めるのは裾踏みだけだ。 (章介は!?) 真紀から章介へ視線を移すが、章介は動こうと、今まさに泥を跳ね上げたところであった。 (間に合わない!)
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