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俺が半ば覚悟を決めた時、死神が動く。
ただし、それは俺への一歩ではなく、その場での上体のひねりであった。
上体の回転に合わせ、大鎌が死神の後ろへ180度回転する。そして、刃は裾を踏む足に突き付けられた。
その足は黒衣の姫のものではない
今、緑の裾の上には三本の足が乗っている。二本は喪服の姫の足、残る一本は白い太股もあらわに床から伸び、膝を曲げている足。
はだけた朱色の袴
海瀬茜の脚だ。
「茜!?」
章介はたたらを踏んで急停止、慌てて後ろを振り返り、そして、自分の後ろに茜がいないことを確認すると、すぐにまた前を向いた。
「いつの間に!?」
知らずに冥府刀を振っていれば、またもや沈んでいるところだ。
茜の脚は章介にかけるべき裾踏留めの呪術を死神にかけ、呪縛している。
死神は動けない。
そして、床の血溜まりから茜が首を出した。
艶めかしい太股と白い首筋だけを出した姿は、まるで血のバスタブに浸かる美女のようだ。
そして、茜はその姿に相応しい笑みを口元に浮かべた。
「斬らないの?私の脚?」
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