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死神は鎌を突き付けたまま、沈黙している。
答えなど分かっている。斬れるはずがない。茜は神、攻撃を加えれば人間など一瞬で灰だ。
つまり、死神は茜が自ら退かない限り、一歩も動けない。
「・・・最初から、やれよな・・・」
俺は傷の痛みにうめきつつ、腐泥門の上から悪態をつく。
「私には私の思惑がある。優先順位は第一に章介の安全、第二に章介の敵の排除、第三に章介の仲間の命よ。できるだけ章介の後ろから離れたくない、でも、襟引鬼は無力化した、だから、あなたを救けた。感謝なさい。『自分の身の安全』が順位に無いだけ、その女よりマシでしょ」
茜は暗に真紀を責めている。
真紀もそれを感じたはずだが、特に悪びれもせず、俺に近づき手を差し伸べた。
「だったら、私には私の思惑がある。私が舞う場所はカズマの後ろよ。そこ以外で命を落とす気はない。望月なら分かるでしょ?」
正直、裾踏姫の気持ちは分からない。ただ、夏奈子や美奈が他の男の裾を命懸けで踏むことがあれば心中穏やかではいられないだろう
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