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俺は真紀の手を握り、立たせてもらう。そして、足に絡み付いた裾をほどき、鎌によって裂かれた袖を破いて腕の傷に巻く。
「茜、しばらく死神を呪縛しといてくれ。俺達が十分遠くへ行ったと思ったら、追ってきてくれ」
これに異議をとなえたのは章介であった。
「先輩、死神は動けません。とどめを刺しましょう」
俺は首を横に振る
「こいつは動けなくても手強い。大鎌は角度を選ばないからな。今は夏奈子やカズマと合流することが優先だ」
それが当初の目的だ。章介を腐泥門から引き上げることが出来たのなら、これ以上時間を費やすわけにはいかない。
「それに、これ以上負傷すれば、夏奈子に会えたとしても役に立てなくなる。それどころか、足手まといになる。・・・茜、頼んだ」
茜はうなずく。
「いいわ。それまで呪縛しているわ。任せてちょうだい」
「よし、章介、真紀、行こう」
「・・・分かりました。先輩、肩をかします」
章介は素早く俺の腕の下に肩を入れる。章介に支えられた俺を、真紀は神妙な顔でまじまじと見た。
「どうした?真紀」
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