14097人が本棚に入れています
本棚に追加
「いえ・・・・不思議だなって思ったのよ。私は数ヶ月前、あなたに冥府刀を渡した。戦力になることを期待してね。でも、予想以上の戦力となった。もちろん、あんたの剣の腕のことじゃないわよ。あんたはカズマに比べて断然弱い。あんた個人のことじゃなくて、あんたの仲間のことよ。
今、あんたは襟掴神に協力させている。もちろん矢崎章介や夏奈子や美奈にも。それだけじゃなく、石井沙恵や菊池隼人、大蛇の花嫁と二人の姫、東子の部下の敬子まであんたに協力したと聞いているわ。この数ヶ月で、あんたは私の一派に劣らぬ組織を作り上げた。さっき、早々とあんたに見切りをつけたのは早計だったかもしれないわ。あんたは皆をまとめる要になっている」
「だと思うなら、先輩を守れ」
章介は真紀を睨む。もともと章介は真紀やカズマに悪感情を持っている。
(真紀、褒めすぎだ・・・まとまってなんかいない・・・結構バラバラだぞ?)
とは口に出さない。今は急いでいる。
「真紀、章介、急げ」
俺は章介の肩に体重をあずけ、右足をかばいつつ歩きだす。
その俺の耳に、金属の擦れる音が聞こえた。
カチャ
カチャ
聞いたことのある音、鎧の擦れる音だ。
最初のコメントを投稿しよう!