第26話 泥と血と涙㊥

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「いえ・・・・不思議だなって思ったのよ。私は数ヶ月前、あなたに冥府刀を渡した。戦力になることを期待してね。でも、予想以上の戦力となった。もちろん、あんたの剣の腕のことじゃないわよ。あんたはカズマに比べて断然弱い。あんた個人のことじゃなくて、あんたの仲間のことよ。 今、あんたは襟掴神に協力させている。もちろん矢崎章介や夏奈子や美奈にも。それだけじゃなく、石井沙恵や菊池隼人、大蛇の花嫁と二人の姫、東子の部下の敬子まであんたに協力したと聞いているわ。この数ヶ月で、あんたは私の一派に劣らぬ組織を作り上げた。さっき、早々とあんたに見切りをつけたのは早計だったかもしれないわ。あんたは皆をまとめる要になっている」 「だと思うなら、先輩を守れ」 章介は真紀を睨む。もともと章介は真紀やカズマに悪感情を持っている。  (真紀、褒めすぎだ・・・まとまってなんかいない・・・結構バラバラだぞ?) とは口に出さない。今は急いでいる。 「真紀、章介、急げ」 俺は章介の肩に体重をあずけ、右足をかばいつつ歩きだす。 その俺の耳に、金属の擦れる音が聞こえた。 カチャ カチャ 聞いたことのある音、鎧の擦れる音だ。
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