第26話 泥と血と涙㊥

186/232
前へ
/959ページ
次へ
(まさか・・・) 忌まわしい夜の記憶が甦る。 音は廊下から聞こえてくる。 真紀が走り、廊下へ顔を出す。そして、左右を見てから駈け戻る。 「剣鬼よ!左右から一匹ずつ!それに猿鬼が三匹!」 剣鬼 俺とカズマが二人掛かりで倒した強敵。それに猿鬼。猿鬼がどんなものか知らないが、鬼ならば強いはずだ。 「クックックッ」 笑いは天井から。 見上げると、血まみれの鬼が笑っていた。 「鬼王だから殺す?仲間と合流?・・・勝手にプラン立ててんじゃねえよ・・・貴様らは全員ここで死ぬんだ」 それこそ勝手なプランだが、剣鬼二匹では本当にそうなりかねない 「章介!退け!」 俺は章介を腕の下から退け、傷付いた自分の足で腐泥門を踏みしめる。 「真紀!死に物狂いで裾を踏め!」 「分かってるわよ!血路を開かなきゃ逃げることもできない!あんたこそ死に物狂いで戦いなさい!」 真紀は俺の後ろへ、章介は俺の隣で刀を構えて叫ぶ。 「茜!死神はもういいから!僕の裾を!」 茜は迷わず死神の裾から章介の後ろへ移動する。
/959ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14097人が本棚に入れています
本棚に追加