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本当だ。
風の音に混じり、甲高いエンジン音が聞こえる。
バイクだろうか。
そして、エンジン音は次第に大きくなり、校舎に反響する。
校庭を走っているのだ。この砂嵐の中にバイクを乗り入れる者は限られる。
「真紀だ・・・やっと来やがった」
カズマが安堵の息をつく。
「なら、望月さんも!」
望月さんが私を救けに来てくれた
窓へ走ろうとした私、その腕をカズマが掴んだ。
「どうするつもりだ?」
「もちろん、この場所を教えるのです!そんなことも分からないのですか!」
「止めておけ。鬼にも居場所を教えることになる。エンジン音を聞き、バイクの停まった場所へ俺達が行く。たぶん、エンジン音に鬼が集まるはずだ。どれだけスムーズに真紀達にたどり着けるか、それが真紀と望月を救う上で重要となる。余計な鬼をこちらへ呼び寄せるな」
「・・・・・・」
もっともなことだ。だが、素直に頷けず、私はブスッと黙り込む。
その時、エンジン音が止まった。
かなり遠い場所、一年校舎の方だ
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