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大きく弾かれた薙刀を、カズマは腹筋と腕力でもって強引に馬の脚へ振り下ろす。
無数の蛇が馬の胴廻りを這い、鬼を腹下へ送り込む。
馬の脚の間から繰り出された槍が薙刀を弾き、そして、槍はそのままカズマの足を狙う。
カズマは腐泥門から片足を引き抜き、これをかわす。
槍は泥を突き、鬼は蛇の力によって反対側の横腹を上がり一気に馬上へ吊られ、上から槍を突き下ろす。
カズマは間一髪でこれを防ぎ、馬は廊下を駆け抜けた。
「どうじゃ!」
鬼は廊下の端で馬首を返し、高らかに笑う。
「曲芸だな」
「そう言っていられるのも今のうちじゃ!」
馬が駆け出し、蛇の髪が蠢きだす
鬼は馬上から横腹へ、横腹から腹下へ、そして、横腹を上がって馬上へ、それらを繰り返し、胴廻りをクルクル回りだす。
鬼が馬の胴廻りを高速のゴンドラのように回る光景はかなりコミカルであった。
コミカルではあったが
「笑えねえ・・・」
カズマが私の意見を代弁する。
確かに笑えない。
鬼に狙いを定めるのも難しく、攻撃を予測するのも難しい。
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