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「だが、やるしかねえな」
カズマが薙刀を回転させ始めた時、さらに笑えない出来事が起った
ウキッ
後ろから聞こえた鳴き声。
振り向くと、廊下の端に赤い顔とつぶらな瞳をした動物がいた。
猿だ。
ただし、手には槍を持っている。
「このタイミングで猿鬼かよ!」
カズマは一瞬だけ後ろを見て、苦々しく言う。
私はベタ踏みだった足裏の半分を上げ、重心を裾の外に置いてある足に移す。
前後に敵、ならば、ベタ踏みではダメだ。両方の敵に対応できるよう、カズマを動けるようにしなくてはならない。
カズマの裾と動きを合わせる、やれるかどうか分からないが、やるしかない。
私の動きを察知したのか、カズマが前を向いたまま「それしかねえな!」と言った。
カズマは私の技術を考え、薙刀の回転を止める。それにより、肩の動きがよく見えるようになった。
(まずは目の前の敵!)
馬はすぐそこまで迫っている。
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