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馬は後脚で立つように、前脚を横に跳ね上げ、薙刀をかわす。
そして、馬は前脚を私達から最も遠い場所に着地させた。
必然的に腰がこちらへ向き、その腰が天井近くまで跳ね上がる。
腰があった位置には曲げられた太い後脚と蹄。
(来る!!)
人間の力で防げるものではない。
私は退くというより、裾から横っ飛びし、カズマも私と同じ方向へ腐泥門を転がる。
直後、私達のいた場所を二本の後脚が轟音をあげて過ぎる。
馬の蹄は避けることができた。
だが、カズマのコートは裂け、血が脇腹を濡らしている。
二本の後脚の隙間を抜い、馬の腹下から槍が突き出されていた。
腹下から鬼が笑う。
「油断じゃな!」
「くそったれ!」
カズマは腐泥門を転がりながら泥に掌を突き入れ、その反動でもって流れるように立ち上がる。
私は回転によって丸まりかけた裾を素早く爪先で左右に広げ、そのまま踏み込む。間髪おかずカズマは薙刀を馬の腰へ振り下ろす。だが、その時には、鬼は馬上に移動しており、槍と薙刀が火花をあげる。
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