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今度は薙刀の勢いが勝る。
刃の上を刃が滑り、薙刀と槍は柄と柄を交える。
振り下ろした薙刀は勢いがあり、槍に押し勝ち、刃を馬の腰にわずかに埋める。
鬼は槍を両手で握り、薙刀を押し上げようとする。
カズマは柄に体重をかけると見せかけ、瞬間に薙刀を退かす。
槍は勢い余って跳ね上がり、鬼は胴をさらす。
カズマはその胴を横に一閃し、薙刀の刃に付いた鬼の血が散って空中に弧を画く。
弧は止まらず、伸びる先には私の頭。
やはり、カズマは後ろなど全く気にしていない。
私は膝を曲げて頭を下げ、薙刀をかわす。
その直後、頭のすぐ上で金属音が響き、散った火花によって髪の焦げる臭いがした。
それに驚き、膝が完全にくじけ、私は床に尻もちをついてしまう。
見上げると、槍の穂先と薙刀が交差していた。
後ろから繰り出された槍、気付かぬうちに猿鬼が背後に迫っていたのだ。
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