第26話 泥と血と涙㊥

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今度は薙刀の勢いが勝る。  刃の上を刃が滑り、薙刀と槍は柄と柄を交える。 振り下ろした薙刀は勢いがあり、槍に押し勝ち、刃を馬の腰にわずかに埋める。 鬼は槍を両手で握り、薙刀を押し上げようとする。 カズマは柄に体重をかけると見せかけ、瞬間に薙刀を退かす。 槍は勢い余って跳ね上がり、鬼は胴をさらす。 カズマはその胴を横に一閃し、薙刀の刃に付いた鬼の血が散って空中に弧を画く。 弧は止まらず、伸びる先には私の頭。 やはり、カズマは後ろなど全く気にしていない。 私は膝を曲げて頭を下げ、薙刀をかわす。 その直後、頭のすぐ上で金属音が響き、散った火花によって髪の焦げる臭いがした。 それに驚き、膝が完全にくじけ、私は床に尻もちをついてしまう。 見上げると、槍の穂先と薙刀が交差していた。  後ろから繰り出された槍、気付かぬうちに猿鬼が背後に迫っていたのだ。
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