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カズマは敵の動きを察知していた
後ろの姫には気を配らないが、敵に対してはカズマの感覚は鋭い。
猿は飛び跳ねた状態から槍を繰り出しており、カズマは刃を交えた状態で「蹴ろ!」と唾を飛ばす。
カズマは身体を後ろへひねっており、そのため力が入らず猿鬼の槍を押し返せないでいる。
そして、カズマの前では、傷の浅かった馬上の鬼がすでに槍を突く体勢を整えている。カズマは後ろばかりに構ってはいられないのだ
私は尻もちをついた状態から上体を後ろへ倒し、反動でもって片足を振り上げる。
真上で交差している槍と薙刀、槍の柄に足の甲が当たり、体重の軽い猿鬼は槍ごと後ろへ飛ぶ。
スカートの中がカズマに見えてしまっただろうが、その報いは後だ
カズマは私の視線に頬を引きつらせながらも、身体のひねりを直す動作でもって馬上からうなりを上げる槍を薙刀で弾く。
槍は上を向き、穂先は天井を差す
だが、それは弾かれたからではなく、馬が再び倒立するように後脚を跳ね上げたからだ。
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