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馬の蹴りを薙刀で受ければ、柄が折れてしまう。よって、カズマが薙刀を使うことは有り得ない。
仰向けで寝そべる私は、猿鬼の槍を蹴り上げたばかりの足を横に倒し、仰向けから横へ、横からうつ伏せへと身体を回転させて素早く床を転がる。
足はもう裾に乗っていない。
自由となったカズマは私を追うように左へ跳び、間一髪で馬の蹴りをかわす。
私は肘や膝の痛さを我慢して床を転がり、立つために仰向けで止まった。その瞬間、真上に槍の穂先を見た。
跳んだ猿が真下に槍を繰り出し、私の顔を貫こうとしている。
今動いても、槍は容易に軌道を変えるだろう。
まだ動いてはダメだ。
私は動きを止めたまま、槍の先を見据える。そして、槍が鼻先に迫った瞬間、私は半回転してうつ伏せになった。
スタン!
耳元に槍の突き立つ音。
それを合図に両手で床を突き放し、私は跳ね起きる。
勢い余って数歩後退した足裏には裾の感触、背にはカズマの背が当たる。
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