魔導機関車

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山村ヴィラジ。 のどかな田園風景があちこちにみられ、自然との調和が図られた美しい村である。 一年を通して温暖な気候を活かして作られた、糖度の高い農作物の出荷がこの村の主な収入源。 村の中心に流れる川は“憩いの川”と呼ばれ、村人たちの隠れた人気スポットだ。この川には高い治癒効果を誇る成分が含まれているらしく、すくった水がそのまま傷薬になる素晴らしい名水だ。 そんな川のほとりに、一人の少年がいた。 年の頃は十代前半くらいだろうか。後ろ髪が寝癖のようにはねたストレートの黒髪を持ち、腕に美しく光る銀色の腕輪が特に印象に残る。 「おーい、ルイン!戻ってこいよ!」 そんな少年の名を、さほど遠くないところから呼ぶ声がする。少年ルインは振り返ると、今行くと言って走り出した。
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