魔導機関車

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ルインは木造建築が多いこの村には珍しい、石造りの家の前まで戻ってきた。この建物の二階に彼の部屋がある。 だがルインはすぐに家の中へは入らずに辺りを見回す。ほどなく、植え込みの陰に隠れた姿を見つけた。 「あちゃあ、何で見つかったんだ!?」 実際、悔しがる彼は尻を半分以上植え込みの陰にならないところに出した滑稽な姿で隠れていたので、探すのにはまったく手間取らなかった。頭隠して尻隠さずとはまさにこのことだが、どうやら本人は真剣だ。 「……それより、何か用?」 ルインはそんな彼の失態にはあえて一切触れず、話を先に進めようとする。いつものことなので、いちいち言っていたらキリがないのだ。 「あ、そうだそうだ!お祖父様がさ、必要な荷物まとめとけってさ。明日だぞ、出発」 「わかってるよ。大丈夫、俺は着替えくらいしか荷物ないから。それよりルーカスこそ……大丈夫なの?」 ルインからの逆質問に、ルーカスはズレていた眼鏡を直す仕草のまま固まって唸り声をあげた。この様子だと、まだまだ準備には時間がかかりそうだ。 「……仕方ない、手伝うよ」 「さっすが!助かるぜ、サンキュー!」 待ってましたとばかりに歓声をあげたルーカスは、ルインが何を言う間もなくその袖を引き、彼を彼の部屋の真正面にある自分の部屋へと連れ去った。
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