魔導機関車

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「ふぅ……サンキューな、ルイン」 数時間後。ようやく荷物をまとめ終わった二人は、下階のリビングでお茶を飲んで休んでいた。憩いの川の上流から汲んできた水を使っているので、少し飲めばすぐに疲れた体に効いてくる。 「それにしても、いよいよだな……。思えば長かったよ。何年か前さ、いきなりお祖父様がお前を連れてきたときはビックリしたけど……今はお前と知り合えてよかったと思ってるよ」 「なんかそれ……旅立ちってより、別れ際の言葉みたいじゃないか……?」 苦笑したルインに指摘され、ルーカスが眼鏡を拭きながら、からからと楽しそうに笑った。普段口数の少ない少年の行った適切な突っ込みが気に召したのだろう。 「それもそうだな……まぁあれだ、これからもよろしくってこと!」 発言がまったくそれまでの流れと噛み合っていないが、とりあえずうんという肯定で返しておくことにした。 内心で“これから”という言葉に秘められた、新しい暮らしへの様々なことについて考えながら。 とにかく、彼らは明日この村を発つ。 (強くなる……俺は、絶対強くなってみせる……) ルインは密かに、数年前に誓ったその決意を胸の内で新たにした。 外では、風に遊ばれた木々が歌うようにざわめいていた。
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