魔導機関車

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数時間後、魔導機関車は快調に走り続けていた。約一週間かけて目的地に向かうという。 「ふぁあぁぁぁ……」 ルインが静かに本を読んでいる目の前で、ルーカスが限界まで口を開いた大あくびをしている。 「なぁルイ~ン、退屈なんですけど~……」 どうやらルーカスはあれだけの荷物を持ちながら、長旅に備えた暇つぶしの為の品は持ってきていないらしい。本当に、彼は一体何を思って何を持ってきたのだろうか。 「……読む?」 「……そんな難しいの、読むどころか開く気にすらならねぇよ……」 ルインは自分の荷物から一冊本を取り出し手渡すが、受け取られることなく苦い顔のルーカスに突っ返された。 「難しいかな、これ……」 「お前なぁ……古代ルタイル語読める13歳なんかそうそういないぜ……」 そう、その本は古語の中でも特に難解とされる古代ルタイル語で書かれていたのだ。 「ルイ~ン……暇だよぅ……遊ぼうよー、ルイ~ン……」 「………………」 こう寂しげにしつこく繰り返されると、読書にも集中できない。 「……仕方ないな。じゃあ探検がてら、少し出歩こうか。広そうだしね、魔導機関車の中って」 「そうこなくちゃ!行こうぜ!」 言うなり、先ほどの様子とは打って変わって急に元気になるルーカス。どうやらお調子者なのは天性らしい。
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