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さほど遠くないところで大きな爆発音がした。たぶん“それ”がまた一つ民家を吹っ飛ばしたのだろう。もうもうと昇る煙は、ただ静かに暗い空に飲み込まれていくだけだ。
目を開けても、見えるのは炎と“それ”の集団だけ。見て気分のいいものなんてない。
抵抗するだけの力は自分にはない。少年はただその場に立ち、自らを襲うであろう最期の運命に思考をとばした。
そのとき──
「あんた、何バカなことやってんの!ほら早く、逃げるよ!」
突如背後から一対の腕が伸びてきて、少年の手をつかみ、少年に迫った死の影から引き離すように引っ張り寄せた。
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