第二章【過去に住人となる人】

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友達の名前は須田 敬太郎。すだ、けいたろうと読むが、僕はスダケーと読んでいる。もちろんスダケーにも認証された、公式の二つ名だ。 「おはよースダケー」 『ケイタのへや』と書かれた部屋のドアを開けると同時にそう言った。スダケーは机でノートパソコンに向かっていた。 「また床屋行ったのか、少し自重しろよ…。」 振り返り際に諭された。前髪の寝癖が酷い。ていうか前髪無っ。上に行ってる! 「だが断るー。あそこ安いアンドめっちゃ上手いよー?スダケーも行けば?」 「行かねーよ。つーかちょっと待て。それオススメしたの俺じゃねーか。それに安いアンド上手くても週1で行くもんじゃねーんだよ床屋ってのは」 顔は笑っている。前から思っているが、この男はよく分からんのだ。ボーイッシュな僕でも理解できない。 「良いんだよあんまり切らないから」 「いやしっかり切れてるから。減ってるから。それに切らないなら床屋行くな。」
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