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「お前たちもさ、 そんなに集まってばかりいたら後輩が迷惑だろ」 「そんなこと言って、惟が一番集まりたがってるのを俺は知ってるぞ」 サックスの秋元一樹は笑いながら言った。 整った顔立ちの冷静な一樹は、やはり女の子からの評判は良かった。 「卒業近いんだから、仕方ないだろ」 惟幸は少し憤慨してみせて、定位置まで歩いた。 そのまま椅子に腰を下ろし、乱暴に、でも繊細に鍵盤を叩いた。 三木惟幸は、ピアノだった。
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