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………
僕が目覚めた時、
そこは真っ白な世界だった。
「涼…。あなた、涼が目覚めたみたいだわ。」
「あぁ…じゃあ仕事に戻るよ。」
「私もしばらくしたら行くから。」
「早くしろよ。仕事が大詰めなんだ。」
「分かってるわよ。」
母親と父親の話し声…。
いつも仕事ばかりで、僕のことなんてかまってくれない。
でも大人しくしてれば帰って来てくれるんだ…。
「…お…かぁ…さん」
「なに?もう大丈夫なの?」
行ってほしくない…。
ここがどこなのか知りたいだけなんだ。
行かないで…。
そう思ったら涙が溢れてきた。
「…何泣いてるの?」
「こ…こ…」
「ここ?あぁ。ここは病院よ。あなたいきなり学校で倒れたんですって。それだけしゃべれれば平気そうね。看護婦さんも来たみたいだし…じゃあ、そろそろ行くわね。仕事が大詰めなのよ。」
ガタガタと椅子を片づけながら、僕の母親は去って行った。
「…い…かな…い…でょ…。」
当然僕の返事なんて聞くきがない。
他の家族はもっと愛してもらってるのに…
なんで僕だけ…。
そこから僕は泣きながら眠りに着いた。
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