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コンビニの中にいる他の客達は、俺達二人のやり取りに顔を向けて静かに様子を見守っているが、こいつらは取りあえず放置プレイで。
「ひいいっ、すみません。でも、やっぱりお売り出来ないんですっ」
まだ言うか。
ここまで拒否られるといい加減に腹が立ってくるが、如何せん俺は大人だ。
怒鳴りつけるなんて子供じみた真似はしない。
俺は再び穏和に売買交渉すべく、このモヤシのび太野郎の服の胸ぐらを掴むと、引き寄せ、奴の頭の上から目だけを下に向けて、再度お願いをする。
「言葉は選べよ、クソが。何も万引きしようってんじゃないんだ。一つといわずにワンカートン買ってやる。…売れないとは言わないよなあ?」
俺の再度のお願い。
…にも関わらず、モヤシのび太野郎はガクガク震えながら、それでも首を縦に振らなかった。
「むむむ無理ですっ」
「なんだとこら」
「ひいいっ、みみ未成年者にはお売りするわけにはいかないんですよっ」
…ちっ。
細かい事を気にしやがって。
「…俺は20歳だ」
「思いっきり高校の制服着て、言わないで下さいいいっ」
このクソ店員の的確な突っ込みに、他の客達は堪えきれずに吹き出した。
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