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目を白黒させている俺など気にしないその子は、ため息を吐いて窓の外を見た。
廊下から見える風景は特に変わったものではなく、普段通り野球部の風景を映している。
ただ、その子の目はどこか悲しそうにそれを映してきらきらしていた。
あの中で好きな人でもいるのだろうか。
だが俺には関係が無い。
あの子も俺がいると邪魔だからそんな事を言ったのだろうと適当に理解し、階段をゆっくりと下りた。
何の音も無い玄関。
靴箱からよれよれのスニーカーを取り出し、床に落とす。
つっかけのまま足を通しながら、俺はふと玄関のドアを見た。
瞬間。
何か、可笑しな機械音が響く。
耳鳴りだろうか、と耳を押さえながらドアを開けようとした、が。
開かない。
押しても引いても横に引いても、開かない。
鍵を確かめるが、鍵はかかっていない。
一体なんなんだ。
俺は職員室へ向かおうと踵を返すと、
あの子が居た。
「だから、言ったでしょ」
はやくかえったほうがいいよって。
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