桜の季節

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「お前さ、もう高校三年にもなったんだから、母さん探してみたら? 案外、向こうもお前に会いたがってるかもよ? 『捨ててごめんなさい!!』とか言われたりして~。」 「…そうだな。」 内藤の言葉に心無く返事をし、鞄から一冊の本を取り出し開く。 そして一枚一枚、字を読まずにページだけ捲る。 俺の心は本には無い。 俺を置いて出て行った母さんに向いている。 一体…母さんは俺の事をどう思っていたんだろう? ━━━━━━━━━━━━━ 「ただいま。」 誰も居ない家に帰宅の挨拶。 父さんは某デパートのガードマンをしていて、まだ帰って来ていない。 多分、デパートが終わる23時~24時の間に帰って来る筈だ。 「はぁ…。」 鞄を机に置き自分の身長より、ちょっと短いベッドに横になって足を伸ばす。 時間は18時23分。 「夕飯どうしよ…?はぁ…。」 内藤の言葉が頭から離れない。 『母さん探してみたら?』 「…それが出来たら、こんなに悩まねーっての。」 第一、母さんが俺に会いたいって思ってるなら向こうから、何かしらの反応(行動)があっても良い筈だ。 俺の前から居なくなって約12年経つけど、手紙の一つも貰った事は無い。 そんな俺が母さんを探して何になる?
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