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俺より、余所(よそ)の男を選んだ人だぞ。
俺の事は忘れて新しく良い家族を持ってるかも知れないじゃないか。
そんな幸せな輪に、俺と言う醜いアヒルが入った日には想像もつかない位、ヤバい事になる気がする。
だから母さんを探すのは…
「ただいま。」
「…!?」
父さんの声がして俺はベッドから起き上がった。
時間は20時丁度。
思ったよりも帰りが早い。
「何だ?お前、まだ飯食ってないのか?」
俺の部屋を覗き、父さんが尋ねる。
俺の部屋は台所を真直ぐ横切るとあるから、食器やフライパン等が出て無ければ飯を食べて無い事が直ぐに分かる。
「うん。」
「体調悪いのか?」
「いや…そうじゃないけど…考え事してたら、いつの間にかこんな時間になってた。」
「考え事だ?進学の事か?
俺は別に、お前が大学行こうが行くまいが反対はしない。
お前が二十歳になる迄は金だって払ってやる。
だから学費の事は気にするな。」
言い、父さんはニッと笑った。
今迄、何不自由無く俺を男手一つで育ててくれた偉大な父親。
「…ありがとう。でも、そんな事を考えてたんじゃないんだ。」
俺の言葉に父さんは首を傾げ
「何だ?女の事か?」
ニヤニヤと俺の顔に汗と皮脂でベトベトの顔を近付けた。
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