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「ま、まぁな。」
「ははははっ、やっとお前に春が来たか。
そうかそうか、青春だなぁ。」
自分の頬を俺の頬にグリグリ。
俺の顔がベトベトに汚れて行く。
「ちょっ、気持ち悪っ!!
いい加減、俺から放れろよ!!」
父さんのベトベトの顔を両手で向こうの方へ押し返す。
「何照れてんだー。俺がお前の年の頃には、女がわんさかと居たぞ。
その中に母さんが…。」
言いかけて父さんは苦い顔をしたまま頭を掻き、俺から退いて台所へ。
「…。」
「お前も飲むか?」
「いや…俺一応、未成年だから。」
「…そうか。」
夕飯を食べ終えテレビの前で寛ぎ(くつろぎ)ビールを飲む父さんは少し寂しそうな顔で俺を見、直ぐテレビに向き直った。
さっきの俺とのやり取りで母さんの事を思い出したんだろう。
空気が重たい。
「…俺、明日早いから寝るわ。」
「…。」
俺の言葉に振り向く事無く、父さんは缶ビールを左右に振った。
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『…さい!!』
『きゃっ!!』
『何度言ったら…。』
『…が起きるわ!!』
『知るか!!』
夢…。
男女が怒鳴り声をあげている。
喧嘩か?
それに、どちらかと言うと男の方が一方的に怒鳴っている様に感じる。
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