【貴人×真人:妄想①】

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  「な…何なんだよ、くそっ!いつもは全然、俺の事なんて見向きもしない癖に…」 薄暗いリビングで、2つの影が重なり合う。 「本当はこんな風に、私に構って欲しかったんじゃないのか?だから…私の気を引きたくて、紗莉夢(あのこ)にあんな事をしていたんだろう?」 ゆらゆらと2つの影を揺らすランプの灯(あかり)は、数少ない貴人のお気に入りの1つだ。 「そ…んな訳ないだろっ!は…離せ…」 小さな抵抗を繰り返す真人の指を絡め取り、そこに唇を寄せる。 「真人…お前は小さな時から、私の事が好きだったな?」 貴人の唇が真人の名を呼び、その指が優しく真人の髪を掬う。 「めんどくさがりやのお前が、この一定の長さを保ち始めたのも、私が『切るな』と言ってからじゃなかったか…?」 真人が肩より短く髪を切らなくなったのは、遠い記憶の中にある貴人の言葉があったから… それを指摘され、真人の睫毛が小さく震えた。 「可愛い真人。私は、お前を愛しているよ…」 ソファに身体(み)を預け、真人が静かに貴人を見上げる。 「…嘘つき。」  
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