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ほのぼのとした空気を漂わせて、手元の茶器で抹茶を静かに泡立てながら、我流の茶を蒼摩の前に器を置いた。
それを…10歳の蒼摩は作法になぞらえて器を手のひらで回して、ゆっくりとした動作で飲み干し器を畳の上に置くと言った。
「結構なお手前です…」
タイミング良く庭の池のこけ落としが小気味の良い音を立ててる。
「…蒼摩…お前は将来何になりたいと?」
「僕は…御師匠さんみたいな…自然の力を探す仕事がしたいとです」
公明は…眉を動かさずに蒼摩を見つめ言う。
「後五年ある。お前がもし変わる事なく、わしの後を引き継ぎたい気持ちが変わらなかったら…その時は」
「その時は?」
「お前に…わしの全てを授けるとばい…」
蒼摩はこの上ない笑を向け頷いた。
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