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―10年後―
庭先の椿が固い蕾を綻ばせて開花の時を待つ時期に…縁側の縁に腰を下ろした少年は麻の着物を着て座っていた。
色白の…黒髪を柔らかく伸ばし、物静かな雰囲気を出している。
「蒼摩…居るとか?」
「はい師匠…」
「茶に付き合わんとか?」
「はい喜んで…」
微かに笑みを向けてついていく。
「あれから10年か…早いばってんなぁ」
「僕が…ここに来てからとですか?」
「そう…つい昨日の様に覚えて居るとばい…」
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