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学校総出で行われる、年に何回かの草抜き大会
すぐに水滴として地面に落ちる汗を無視しながら、ブチブチと根を残して葉だけちぎりとる
草は逞しく、踏まれようが水溜まりの底に沈もうが気にしたふうもなく、次の日にはケロリとしている
僕が思うに草も逞しいが、彼女は草よりか逞しい
見よ、この炎天下の昼前に一人でオレンジのゴミ袋を草で埋め尽くしている
なのにまだ足りないのか走って袋を持っていき、先生に代えてもらっている
汗で額に前髪を張りつかせながらも、彼女はこちらの視線に気付き、まさに花が咲くように笑った
開拓フラワー
ほら、そうやって笑うから
雑草のように僕の心の隙間に広がって、綺麗な花を咲かせていく
草なら抜いてやるのに、普通より逞しいだけの花なのだから質が悪い
あぁ、また花が一輪咲いた
END
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