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鉛の弾が目の前を通過した。
もっと正確に言えば、それは鉛とアンチモニーの合金でできた、5.56ミリ口径のライフル用弾丸だった。
噴射火薬の爆発で銃口から飛び出し、音の壁を超え、標的を破壊するために飛翔している。
北京マフィアの幹部、李 爛金の眼前を通過したライフル弾は、少し離れた場所に立って中国製トカレフを構えていた彼の部下に牙をむいた。
爛金の部下、確か名前は金 雲羅。
ライフル弾は雲羅の腹部にめり込み、横行結腸と空腸の一部を派手にかき回し、腰椎を貫き、背中から抜けていった。
背中側に生じた大穴から、爆発したかのように鮮血が飛び散り壁を、床下を紅く染め上げた。
雲羅の即死は明らかだった。
東京都新宿区歌舞伎町の高級中国人クラブ。
宮殿を思わせる煌びやかな店内には、今、血と脳漿、そして硝煙の臭いで満ちている。
爛金には護衛の部下が九人ついていたが、全員物言わない死体にされた。
爛金が最後の一人だったのだ。
クラブで働く女たちは、とっくの昔に逃げ出している。
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