朝焼けの戦い

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「英雄アテスと破竜オルガノの伝説。聞いたことくらいあるだろ?」 少女はきょとんとしていた。「ああ、知らねえか」と、ヴァーツラフは笑う。 「アテスとオルガノ……この竜と人間は、協力して地獄から現れた悪魔と戦ったっていうこの世界の英雄だ。だが、妙にお互い仲が悪かったらしい。しょっちゅう喧嘩してたって話だ」 言いながらヴァーツラフは再び星空を見上げた。同じように少女も空を見上げる。 目の前に広がる星の海。それはどこか儚げで、今にも消え入りそうな灯火がいくつも見えるような気がする。 ふと、少女は視線を隣の傭兵に戻した。 「……俺には昔、相棒がいた。流石に竜じゃあねえが、いいやつだった。ただ、くだらねえことでよく喧嘩したよ。付き合いも長かった」
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