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城下街に戦前の活気が戻りつつあるころ。
城下街を見渡せる位置に建てられた王国の城内では、慌【アワ】ただしげに人々が動きまわっていた。
その原因はこの城の主。
敵国の城への訪問を、昨日【サクジツ】突然言い出したのだ。
勿論【モチロン】将軍や相談役、女官【ニョカン】や執事達は女王に大反対した。
何せ交戦中の敵国の、しかも大将である皇帝に面会しようというのだ。
帝国の皇帝は非情で冷徹【レイテツ】な人間だと噂【ウワサ】されているし、
道中に攻撃されないという保証はまったくと言っていいほどない。
本の少しでも身の安全を保証出来ない場所に、女王を行かせたくないのだ。
何故そこまで反対するのか。
それは、女王の跡継ぎ、王座を継げる後継者がいないためだ。
王国の前王、女王の父は3年前に他界し、
今では王家の血を受け継ぐ直系の者は、女王ただ1人だけ。
王家の血を受け継ぐ者は直系の者だけと決まっており、後継者がいない今、
女王の身に何かあれば、王国は滅ぶのだ。
皆【ミナ】が反対するのは後継者の問題も大きいのだが、
女王は城の者達からも国民達からも愛されており、親しまれているので、
女王としではなく、レミーナという人物個人を心配している気持ちから、
行かせたくないというのもあるのだろう。
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