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だが女王は皆の反対を受け入れず、帝国に既【スデ】に使者を送っていた。
使者を送ったにも関わらず、女王が訪問しないのは、無礼だ。
という女王の一言【ヒトコト】で、
家臣【カシン】達の反対も虚【ムナ】しく、女王が皇帝に面会する事は決定した。
しかし、突然言い出した帝国までの旅の準備が出来ているはずもなく、
早朝から女官【ニョカン】や執事達は必死に準備を進めているのだ。
そんな慌ただしい城内を、
1人の高位の階級だろう服を着て帯刀している体格の良い男が、
その顔に焦りの色を浮かべ、凄い速さで歩いていた。
ずんずんと速さを緩める事なく、
廊下を突き進んで行き、重々しい雰囲気の感じられる大きな扉の前まで来た。
男は歩いて来た勢いでノックもせずに扉を押し明けると、そのままの勢いで部屋の中に入った。
その部屋は白い天蓋【テンガイ】付きの木製ベッドがあり、
近くにある大きな窓は白いカーテンで被【オオ】われていた。
ベッド脇【ワキ】には白い小さな本棚と蝋燭【ロウソク】の燭台【ショクダイ】、
ベッドから離れた所に白い仕事用の木製デスクと同色の椅子。
この部屋にはそれ以外の家具は置かれておらず、城内の部屋にしては非常に質素な物だった。
男は歩く勢いを緩める事なく、
天蓋付きベッドに近づき、天蓋に手を掛け、勢い良く開けた。
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