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レイウァン「帝国に御訪問になるとはいったいどういうおつもりですか!?
我が国は現在、帝国と戦争中なのですよ!?
道中陛下に若【モ】しもの事があるやもしれません!!
あの冷酷非情と噂される皇帝が、黙って陛下を返すとも思えません!!
今すぐ御取りけ グハァ!!」
レミーナ「五月蝿【ウルサ】いわ」
レイウァンはレミーナに詰め寄ると、
興奮しているのか大きな声で少女に懇願【コンガン】した。
レミーナは大声で話すレイウァンに、
眉間【ミケン】に皺【シワ】をこれでもかという位に寄せて我慢していたが、
耐えきれずに不機嫌そうに一言漏らし、
レイウァンの腹をレイピアの柄【ツカ】で殴った。
レイウァン「で、出来れば、もう少し優しく、御止め戴【イタダ】きたいのですが……」
レミーナ「無理ね」
レイウァン「ですよね……」
レイウァンはレミーナの肩を掴んでいた手を離し、腹を抱【カカ】えると、
途切れ途切れの痛々しい声でレミーナに頼んだ。
だが、レミーナはベッドの上に寝転がり頬杖をついて、
未【イマ】だに不機嫌そうな声で、レイウァンの頼みを足蹴【アシゲ】にした。
レイウァンはレミーナの言葉を聞くと、悲しそうに涙を流して落ち込みだした。
レミーナはレイウァンの落ち込んでいる様子を見て笑っていたが、
その瞳は何処か悲しみが浮かんでいるように見えた。
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