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「私、山本さんに言わないといけないことがあったの忘れてた!!」
いきなり声を上げたので、愛子は少し驚いて夏美を見上げていた。
「な、何を言うの?」
「今度の文化祭について!!」
夏美は今年の文化祭の実行委員だった。夏美は慌てて、教室を出ようとしたが目の前を通る人を見て立ち止まった。
「東野さん‥!!」
「ん?なになに?奈々のこと呼んだ?」
目の前を通り過ぎようとしていた人物は、自分の名前が呼ばれた事に気づき立ち止まった。
その時に、夏美はすかさず前にでた。
「ひ、東野奈々さん!!」
「ん?あぁ、ダサ‥じゃなくて南川さん。どうしたの?」
気のせいだろうか。奈々は夏美を見た瞬間僅かに顔を歪ませ嫌な顔をした。
だが、夏美にとってはそれが日常茶飯事的なものだったので、気にしていなかった。
さっさと用件を伝えることにした。
「あの、山本美奈さんと仲良かったですよね‥?できたら、伝言を…」
「いいわよ」
ダルそうな顔をして、腕を組む奈々。それを見て、さすがに少し悲しい思いをした。
「今日言わなければいけないことがありますから、特別支援室に来てほしいと…伝えておいて下さい」
何故自分は同級生に向かって敬語なのだろう?
夏美の中に疑問がわいたが、すぐさまそれを心の奥の方にしまい込む。
「それだけ?分かったわ。ちゃんと伝えとく」
それだけ言ったら、奈々はさっさと教室に戻って行った。
夏美は少しばかり痛む胸を押さえ、自分もさっさと特別支援室へ向かった。
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