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バッドイーター
換気扇の音が響き渡る店内で
俺と店長はにらみあったまま硬直していた。
テーブルの上には食べかけのチンジャオロース。
「さあ、早く食べるネ。ワタシの心のこもった“死のチンジャオロース!!”」
「ああ食ってやるとも!バッドイーターの名にかけて!!」
はぐ!
……まずい。
これは、まずい。
何がまずいってこの牛肉がひどい。
なんだろう、ケミカルな味がする。
名前をつけるならケミカルウォッシュ肉とでも名付
けたいくらい薬品臭い。
軽く切って薬品でしめたに違いねえよ絶対。
次はこのピーマン。
いやピーマンじゃねえよ、これ。
パプリカじゃねえか。
似てるけど違うだろ。
あとはこの全体を包んでいるサラダ油。
酸化してるよ。
なんか濡れた獣みてーな匂いがするもん。
とりあえず店主に石抱いて正坐させたい。
チンジャオロースに泣いて謝れ。
「くっく。血塗られた歴史の上にこの死のチンジャオロースは生まれたのだ。バッドイーターの若造ごときに完食されてたまるものか」
「ギリッ……この野郎……これほどまでにまずいチンジャオロースを作るとは……!?」
「さあ、降参するなら今のうちだぞ?私には他に38の死のメニューがあるのだからな」
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