第一話:悪夢、降臨

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スバルとチュパカブラドールマターの戦いは、まさしく死闘と呼ばれるものだった。 チュパカブラドールマターは腕を突き出し触手を伸ばすが、スバルの素早い身のこなしによって全てかわされてしまう。逆にスバルが拳を振るうも、チュパカブラドールマターは腕の先端についた鋭い爪でそれを弾く。 両者共、一歩も譲らぬ激闘。そこには何者も介入する余地は無かった。 しかし、それも何時までも続かなかった。 ほんの少しずつだが、スバルの身体の動きが鈍くなっている。ピッとチュパカブラドールマターの爪が頬をかする。 いかに戦闘機人であろうと、やがて来る疲れからは逃れることはできない。ましてや、相手に触れるたびに魔力が減ってゆくのだ。いかに今のスバルが魔力に頼っていないにしろ、魔力の減少による疲労はかなりのものだった。 『ガッ!』 再び振り下ろされた爪の先が脇腹に当たる。裂けた皮膚からじんわりと血がにじむ。 このまま持久戦になれば、スバルの勝ち目はますます薄くなるだろう。 ゆえに、スバルは次の一撃に全てを賭ける。 一撃必倒。 胸に刻み込んだその言葉通りに、彼女は拳を振るう。 「IS発動…」 『ガアアッ!』 一方、チュパカブラドールマターもスバルの考えに気がついたのか、左腕を大きくふるう。 拳と、爪。 ほぼ同時に繰り出されたそれらが互いに近づいてゆきそして、 「振動!破砕!」 『グガガグガアァァァ!』 ギイイィィィィン!! 二つの力が、ぶつかり合った。
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