第一話:悪夢、降臨

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彼女たちの敗因は二つ。 一つ目が、相手の知能をあまり高くないと見ていたこと。 ほとんど本能的な行動をしていたため、いつの間にか彼女たちの脳内は「知能レベルは高くない」と判断していたのだ。いや、そう思わせるのもチュパカブラドールマターの作戦の内だったのかもしれない。 二つ目がチュパカブラドールマターの触手を一本だけだと思ってしまっていたこと。 三対一になってもそれ以外に出さなかったために、知らず知らずのうちに先入観でそうすり込まれていたのだ。 だからなのだろう。 なのはの腹部を、チュパカブラドールマターの日本目の触手が貫いていたのは。 スバル・ナカジマには憧れの人物がいる。 高町なのは。 四年前の空港火災の時、まだ幼かった自分を助け出してくれた人。 その時の彼女を見て、自分も管理局員になろうと思った。 それからずっと、彼女の見えない背中を追って進んできた。 同じ部隊に、機動六課に誘われた時はどんなに喜んだだろう。 時々つらいことや悲しいことはあったけれど、この八ヶ月は決して忘れないだろう。 そして今日、空を飛んでの後ろ姿は、とてもきれいだった。 ならば、何故 何故今彼女の後ろ姿は、赤く染まっているのだろうか。 「あ…」 瞬間、理解する。 「ああ…」 それは、血。 人に流れるもの、生き物に流れるもの。 「あああ…」 それはつまり、 高町なのはの敗北だった。 「うわあああああああああああああああああああ!!」 スバルの叫びと頬をつたう涙、そしてその目がエメラルドから琥珀色に変わるのは同時だった。
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