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「エリオ!あんたは近くの部隊に応援と医療班頼んできて!キャロはそのまま治療続けといて!スバルはあたしと…」
一緒になのはさん守るわよ。
そう言おうとした時だった。
(あれ…そういえばスバルは…?)
そう、視界の中にスバルの姿は無かったのだ。なのはが大怪我をしたのならば、真っ先に飛んできそうなあのスバルが。
どこに行ったのかと探そうとした時だった。
「うわああああああああ!!」
響きわたる叫び。
ティアナは何事かと思い声の方向へと振り向く。
そこには、怪物へ向かって走るスバルの姿があった。
「スッ、スバルあんた!何やって…」
しかしその時、ティアナは見た。
スバルの目が、エメラルドにも似た緑色から、金色へと変わっているのを。
「スバル…!?」
戦闘機人モード。
純粋な人間ではなく、戦闘機人であるスバルのもう一つの顔。
それほどまでにショックだったのだろうか。いや、そうだったのだろう。
その様子をティアナは、ただ黙って見ているしかなかった。
怪物(チュパカブラドールマター)は邪魔者を排除しようと、その長い触手をスバルへと伸ばす。が、スバルは素早いステップでそれをかわす。
何度鞭のように振り回そうと、スバルは時に余裕をもって、時にギリギリでかわしながら徐々に近づいてゆく。
振り回すだけでは当たらないと悟ったチュパカブラドールマターは大きく息を吸い、弾丸のように触手を発射した。
「はあ!!」
しかし、これはスバルの蹴りによって弾かれてしまう。
そうして、伸びきった触手を右手で無造作に掴んだ。
『ガッ!?』
「IS発動、振動破砕」
スバルがそう呟いた瞬間、掴まれた触手がビチビチと跳ね始め、そして、
パンッ
最後に呆気なく破裂した。
振動破砕。
魔導師としてではなく、戦闘機人としてスバルが持っている能力である。
『ガアァ!!?』
チュパカブラドールマターは予想外の出来事と破損からくる一時的なショートによってフラフラとよろめいた。
そしてその隙を、スバルは見逃さない。
「はあ!!」
『ガガァ!!?』
鋭い拳の一撃が、チュパカブラドールマターの腹部をえぐった。
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