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一言で言うと、部屋はひどい有り様だった。
部屋中が埃っぽく、床にはインスタント食品の空き容器がそこら中に散らばっている。
私物用の棚こそ整理がなされているが、それ以外は散らかり放題だ。
そして、部屋の有り様に言葉を失っているアーティーのことを知ってか知らずか部屋の主は呑気にテレビ画面へ釘付けとなっていた。
ボサボサの髪、しわが目立つ白衣、トレードマークとしている赤い帽子。
いつ見ても、いつも通りのリオルだ。
「リオル、リオル様。少しよろしいでしょうか」
「んー?」
「この部屋はなんです?」
「何って…僕の部屋だけど?」
「片付けないのですか?」
「あー、さすがにやばいねー」
「でしたら」
「これ見たらやるよ」
「………」
何なんだろうこいつは。
どう見てもやる気のやの字も見当たらない。
アーティーは深く溜め息をはきながらリオルが見ている画面をチラリと見た。
そこにはリオルの『作品』に似ているとも言える怪物と、全身を装甲で包んだ戦士が戦っていた。
97管理外世界で放送されている子供向けのドラマ―特撮と言うらしい―だが、アーティーには何度見てもどこが面白いのかわからない。
それから数分が経ち、
「あー、終わった終わった。それで、わざわざ部屋に来たなら片付けの件だけじゃないんだろう?言ってごらん」
ようやく見終わったらしいリオルが話しかけてきた。ちなみに、アーティーは掃除にせいをだしている。
「はい、『作品』が好き勝手やっておりますので御命令をと…」
ゴミを袋に詰め込みながら、アーティーは答える。
「そう、じゃあ準備しなきゃね」
そう言うとリオルは部屋の隅にあるクローゼットの扉を開けた。
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