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照明の無い部屋の中、リオルの『作品』達はいた。
長らくかんじられなかった主の気配を感じたからか、今現在も部屋の入口から続々と入ってきている。その数は、ゆうに30を超えているだろう。
その正体は、様々な異形だった。
全身に管のようなものを巻いたものもいれば、身の丈ほどの鎌を持つもの、自重を超えているとしか思えない物体を背負ったものもいた。
そんな中で、一つだけ異形たちに共通することがあった。
彼らの目だ。
その目が、闇の中で怪しく、赤く光り続けている。それはさながら、血を撒き散らしたかのようだった。
「静粛に、だよ」
今まで呻き声のような彼らの鳴き声しか聞こえなかった空間に、明らかな人間の声が響く。
「さて、僕は一体君達の何なんだろうね?」
それはこれから重ねようとしている罪の重さを知りながらも、
「作り主?それとも神?それとも、ただの構造の違う動く物体?」
それを快楽として楽しもうとする狂った天才。
「全部違う。そう僕は…」
自らをこの上無い遊び人(ゼロ・プレイヤー)と自称する男、
「僕は、君達の王だ」
科学者、リオル・ロベックがそこにいた。
「さあ、僕が欲と楽しみのために作り出した君達の調子はどうかな?」
そこには先程までのぐうたらなど微塵もなく、ただ上に立つ者の威厳のみがあった。
「ふむ、見た限りでは問題なさそうだね。本題に入ろうか」
「諸君、今まで窮屈な思いをさせてすまなかったね。暇だったろう?」
「恐らく、君達は外の世界をまだ知らないだろう。たまに僕の頼みで行くことがあった者もいると思うけど、ほとんどの者はまだ外を見たことがないよね?特に、つい先日生まれたばかりの第三シリーズの者達などまだ基本教育も終わっていないだろうね」
「しかし、そんな退屈な時間は終わりだ!始まりの時が来たのだ!」
グオオオオオ!!
異形からおこる歓喜。それは、主への感謝か、それとも外へ出られる喜びか。
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