92人が本棚に入れています
本棚に追加
12月1日p.m.12:05、ミッドチルダ中央区画湾岸地区
ある程度発達した次元世界ならば一ヶ所はあるであろうありふれた釣りスポット。そこには、今現在二人の中年男性が腰を下ろしていた。
二人はすでに二時間は粘っているが、いまだに収穫はゼロ、といったところだ。
「釣れませんねえ」
「いや、本当に」
そんな不毛な会話をしていると、ついつい意識がおろそかとなり、辺りを見回してしまう。
だから気づいたのだろう。
自分たちから数メートル程離れたところの地面が、うっすらと光っていることに。
「おい、あれなんだ?」
「え?あれ?あんなところに魔法陣が」
それは、管理世界の人間ならほとんどが知識として持っている魔道士の魔法陣だった。
「魔道士もいないのにどうしてこんなところに…」
「おい、俺なんかイヤな予感が…」
その時だった。
ゆっくりと回転していた魔法陣が突如として止まり、次の瞬間激しく光り出した。
「うおっ!」
「な、なんだあ!?」
光あれば闇がある、と言う。
そう、その光から現れるは、闇。
人の作り出した、魔法以上の闇…。
数分後…
『やあやあ、無事到着したようだね』
端末のモニターで、リオルの呑気な声が響いている。
「ガ…」
『おや?早速君の能力を使ったようだね。うんうん、しっかり機能してる』
通信を受ける異形の足元には二つの骸が転がるのみだ。彼はそれを能力というのか。
『それじゃあもう一度言うよ…我が作品、ドールマターNo.08チュパカブラ、時空管理局が希望にして不屈の翼、高町なのはを抹殺せよ』
「ギーガー!」
惨劇の始まりを告げるかのように、異形は高く吠えた。
最初のコメントを投稿しよう!