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同日p.m.12:15、ミッドチルダ中央区画湾岸地区古代遺失物管理部「機動六課」本部隊舎
「は~、疲れた~」
そんなうなだれた声を出しながら、スバル・ナカジマは食堂のテーブルに突っ伏した。
ジェイル・スカリエッティ首謀の一連の事件―通称JS事件が終わって二カ月とちょっと。
戦闘時にうけた傷も今ではすっかり治り、数ヶ月前までの平和な日々を取り戻しつつあった。
ただし、事件前とは少しだけ違うことがあった。
それは、事務仕事の増加である。
事件によって様々な物が壊れたからか、はたまた自分たちフォアード陣がある程度の力をつけてきたからか。事件前の数倍に上がっていた。
これは、事務仕事が苦手なスバルにとってはまさしく苦悶であった。実際、午前中は書類の件で上司のヴィータにこってりとしぼられたのだから。
「スバル、あんたそんな調子でホントに午後の仕事もこなせるの?」
そんなあまりのうなだれっぷりにパートナーで親友のティアナ・ランスターが話し掛けた。そこには心配と同時に何故あれくらいでバテるという皮肉を込めた意味も入っている。
そんなことを知ってか知らずかスバルは呑気にも、
「うん、無理~。だからちょっと手伝ってよティア~」
などと冗談半分、本気半分で答える。いや、もしかしたら全部本気なのかもしれないが。
「駄目よ。あんた、一回甘やかしたら次からもあたしに頼るでしょうが」
「う~、ひどいよティア~」
とはいえ図星だったスバルは何も言い返す言葉が浮かばなかった。
「あのー、よかったら僕が手伝いましょうか?」
「あ、わたしも手伝います!」
元気のないスバルの態度を心配したのだろうか。エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエが自分から手伝いを名乗り上げた。
「いやエリオとキャロはいいよ。あたしと同じで作業遅いしさ」
「でも…」
「いいからいいから」
「はいはいそこ、ちゃっちゃとお昼食べちゃいなさい」
「あ、うん」
ティアナに推されてスバルが立ち上がるのと、アラートを告げるブザーが鳴るのはほぼ同時だった。
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