第10章 里奈

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 気がついた時には、暗闇の中にいた。  一瞬、どこにいるのかわからなかったが、徐々に見覚えのある屋敷に里奈は全てを思い出した。  ここは里奈の家だ。  死んじゃったパパと一緒に引っ越してきた、お洒落な家。  みんなに自慢のできるお気に入りの家だ。  ママや和人はどこにいるのだろう?  里奈は屋敷の中を捜す。  階下からぼそぼそと人の話し声が聞こえてきて、里奈は急いで螺旋階段を降りた。 「嫌だ、何この足音? 気持ち悪い」  ママじゃない女の人の声が聞こえてくる。  誰?  リビングの扉から中を覗きこむと、里奈の知らない大人が何か神妙な顔をして話し込んでいる。  どうして知らない人達がいるの?  里奈はわけがわからず、そっと暗闇に身を潜めた。
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