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「ママ、ママ!!」
里奈は母親に縋り付く。
だけど、静はまるで里奈には気付かない。里奈な叫び声にも振り返ることなくどこかに消えていってしまう。
和人が知らない人と遊んでいる。
こんなの嫌!!
こっちへおいで。ほらっ。楽しいよ。
どこからか声が響いてくる。
「誰? あたしのことわかるの?」
里奈は振り返った。
あたしのことわかるの?
誰も気付いてくれなかった。
母親も和人も誰も里奈のことに気付いくれなかった。
里奈は声のするほうに歩き出した。声が誘うように降り注いでくる。
あっ、見たことある。
キラキラと光るダンスフロアに入り、里奈は考える。
いつだったかな。どこかで里奈はこの景色を見たことがある。
どこでだったかは思い出せないけれど。
ほっとした気分で里奈は足を踏み入れる。
その時だけ里奈は、寂しさから逃れることが出来た。
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