第10章 里奈

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だけど、みんなは何時もいるわけではない。 みんながいなくなると、里奈は1人きりで暗闇に身を潜めて、縮こまっていなければならなかった。 里奈の居場所はどこ? 真っ暗闇の中、息を潜めて身を隠す。 だけど、寂しさに勝てずに、里奈は家中を居場所を探して歩き回る。 何時もは物音1つせず、静まりかえっているが、時々、人の話し声が聞こえてくることがあった。 その時も、真っ暗な中に楽しそうな話し声が響いてきた。 女性が朗らかな笑い声をたて、男性が応えるように温かい相槌をうつ。 扉の隙間から、薄い幾筋の灯りが洩れてでいた。 その話し声があまりに懐かしく、暗闇から灯りの元に行きたくて、里奈は何時もの物陰からフラフラと抜け出した。 寂しいよ…。 ゆっくりと明るい場所で休みたい。 こんな暗い場所はもう嫌だよ。
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